物を売るということだけでなく、店を開くことそれ自体に意味があった

どんぐり広場(岩手県釜石市)

 釜石市にある産直どんぐり広場ができたのは、平成8年の5月。現在の組合員は89人で、そのほとんどを兼業農家が占めている。直売所の店舗は今年の5月に新しくしたばかりで、野菜を入れる木箱をはじめ、店内装飾の多くを自分たちの手で手作りしたという。新しい店内は清潔でとても明るかった。  東日本大震災発生時に組合長を務めていた佐々木章夫さんと、現在の組合長の藤原英彦さんに話を聞いた。【産直新聞・鹿野なつ樹】

災時に組合長だった佐々木章夫さん

災時に組合長だった佐々木章夫さん

 どんぐり広場は、震災発生直後の3月13日の午後から営業を再開した。まだ余震が続き、この先どうなるかわからない状況で、誰もが大きな不安を抱えていた時期である。

釜石市内でも沿岸部の被害は甚大で、店を開けることに対し、周囲からは「まだ早いのではないか」という声もあったという。それでも、「多くのお客さんが食料を求めて買いに来たため、店を開ける決断をした」と佐々木さんは語った。時期的に品物の種類自体はそれほど多くなかったが、それでも「物を売るということだけでなく、店を開くことそれ自体に意味があったと思う」と藤原さんは当時を振り返った。

以前と変わらず店があいているというその状況に、訪れたお客さんらはほっとさせられたことだろう。

現在の組合長、藤原英彦さん

現在の組合長、藤原英彦さん

 震災発生直後、佐々木さんは、おにぎりを握って配ったり、炊き出しをしたりと、自治会の様々な支援活動に参加したという。また、震災から数ヵ月後、岩手県からの依頼を受け、海岸沿いへ野菜産直に行ったこともあったそうだ。

 家族らとも連絡がとれない状況下で、震災発生直後から直売所を開き、支援活動等を行なった佐々木さんから力を与えられた人たちも多くいたことだろう。


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